『キングダム』を第1話から改めて読み返して振り返っていくシリーズ。
今回は第12話「忠臣」です。
前話に引き続き、信とムタの戦いから始まります。序盤の強敵として登場したムタとの戦いについに決着がつくのがこの話。そして、これまで政との会話や回想で何度か登場していた昌文君が、ついに信たちの前に姿を現します。
今のキングダムを知ってから読み返すと、この頃の昌文君はかなり印象が違いますね。
後に秦国の文官として政を支える昌文君ですが、第12話では「武将・昌文君」として、とにかく強そうに描かれています。そして今回のタイトルである「忠臣」の意味が分かるラストシーンも印象的です。
政の言葉で息を吹き返した信
前話ではムタの独特な動きに苦戦していた信。
しかし、政の言葉を受けたことで再び勢いを取り戻し、第12話では一気に攻勢へ転じます。ムタ自身も信のスピードや圧力が明らかに変わったことを感じ取ります。
ここまでの信を振り返ってみると、まだ戦場に出た経験すらない少年です。それでも、すでに圧倒的な身体能力と戦闘センスを持っていることが、この戦いからも分かります。
もちろん後のキングダムでは、信よりはるかに強い武将が次々と登場します。それを知った状態で序盤を読み返すと、『この頃の信はまだ本当にスタート地点なんだな』と感じます。
それでも暗殺者として送り込まれたムタと渡り合えているわけですから、やはりこの時点ですでに普通の少年ではありません。
追い詰められたムタが毒矢を政へ
信との戦いで追い詰められたムタ。
このまま正面から戦っても勝てないと判断したムタは、最後の手段として毒矢を使おうとします。
しかも狙ったのは信ではなく政。ムタの目的はあくまで政の暗殺なので、戦いそのものに勝つ必要はありません。信を倒せなくても、政さえ殺せれば任務は成功です。
考えてみれば当然の判断なのですが、信との一騎打ちを読んでいるこちらとしては、
「そっちを狙うのか!」
という展開です。
そして、ムタが政へ毒矢を放とうとしたその瞬間。待ちに待った人物が現れます。
昌文君、ついに登場
漂が王宮へ行くことになったきっかけを作った人物であり、政からも生存を信じられていた昌文君。
ここまで物語上では非常に重要な存在でありながら、信たちとは合流できていませんでした。その昌文君が、絶体絶命のタイミングでようやく姿を現します。
しかも登場の仕方がめちゃくちゃ格好いい。信が苦戦したムタを、昌文君は鉾で一気に斬り伏せます。
現在のキングダムから入った人がこのシーンだけを見たら、
「昌文君ってこんなに強い武将だったの?」
と思うのではないでしょうか。
初期の昌文君はとにかくデカくて強そう
個人的に第12話を読み返して一番面白かったのが、昌文君の描かれ方です。
とにかくデカい。そして、ものすごく強そうです。
現在の昌文君は、政を政治面から支える文官としてのイメージがかなり強くなっています。王宮奪還以降の物語では、過去の回想などを除けば、昌文君自身が前線で敵をなぎ倒していくような場面はほとんどありません。
しかし、この時点では完全に武人。後に登場する大将軍たちと並べても違和感がないくらいの存在感があります。実際、昌文君はもともと武官として戦場を経験してきた人物です。
キングダムをずっと読んできた後に序盤へ戻ってくると、
「そういえば昌文君も武将だったな」
と思い出させてくれるシーンです。
信が昌文君へぶつけた漂の死
ムタを倒した昌文君は、そのまま政のもとへ歩いていきます。
しかし信にとって、昌文君は単純に「助けに来てくれた味方」ではありません。漂を王宮へ連れていった人物でもあります。
そして漂は死にました。だから信は、昌文君に漂が死んだことをぶつけます。
信からすれば当然でしょう。もし昌文君が漂を連れていかなければ、漂は死ななかったかもしれない。信自身もまだ、漂の死を完全に受け入れられているわけではありません。
ところが昌文君は、その言葉を受けても信の方へ向かいません。そのまま真っ直ぐ政のもとへ進んでいきます。
政の前で涙を流す昌文君
そして昌文君は政の前に跪きます。
ここが第12話で最も印象に残った場面です。
昌文君はずっと政の生存を心配していました。反乱によって王宮を追われ、政が生きているかどうかも分からない状況。ようやく政の姿を確認できた昌文君は、その前に跪き、涙を流します。
後のストーリーを知っていると、昌文君がどれほど政に忠誠を尽くしている人物なのかは分かっています。
しかし、その関係性が物語のかなり早い段階ですでに描かれていたことに、読み返して改めて気づきました。
第12話のタイトルは、「忠臣」です。
おそらくこの昌文君の姿を表したタイトルなのでしょう。
漂について昌文君は何を語るのか
一方で、読者として気になるのはやはり漂です。
なぜ漂は政の身代わりになったのか。昌文君は漂を王宮へ連れていった後、何があったのか。そして、漂はどのような最期を迎えたのか。
第1話から続いてきた大きな疑問が、昌文君との合流によってようやく明らかになろうとしています。
ここまで信の視点では、漂は王宮へ行き、何かに巻き込まれて殺された、ということしか分かっていません。
しかし、その裏側では政をめぐる王宮の権力争いが起きていました。
序盤のキングダムは、信の「天下の大将軍になる」という物語と、政の「王座を取り戻す」という物語が徐々につながっていく構成になっています。昌文君との合流は、その2つが本格的につながる重要なポイントでもあります。
後の昌文君を知っているからこそ面白い第12話
キングダムを最初に読んだとき、第12話の昌文君は単純に、「政側の強そうな武将が来た!」という印象だった気がします。
しかし、物語をずっと読んだ後に改めて振り返ると見え方が変わります。
後に政を支える重要人物になること。武官から文官へと立場を変えていくこと。そして、長い年月にわたって政の中華統一を支えていくこと。
それを知ったうえで、若き政の無事を確認して涙を流す昌文君を見ると、このシーンの重みが増します。
キングダムは長期連載作品だからこそ、こうした「後の関係性を知ってから序盤を読み返す面白さ」がありますね。
第12話「忠臣」まとめ
第12話では、信とムタの戦いが決着し、ついに昌文君が政と合流しました。
今回特に印象に残ったポイントは、
● 政の言葉を受けてムタを圧倒し始める信
● 最後の手段として政を毒矢で狙うムタ
● 絶体絶命の場面で登場する昌文君
● ムタを一撃で倒す武人としての昌文君
● 政の前に跪き、涙を流す「忠臣」としての姿
といったところです。
特に、今では文官のイメージが強い昌文君が、大柄な武将として圧倒的な存在感を放っている姿は、改めて読むとかなり新鮮でした。
そして昌文君が合流したことで、漂の身に何が起こったのかも、いよいよ明らかになっていきます。
次回、第13話も引き続き振り返っていきたいと思います。
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