人であふれるはずの渋谷から、突然、人が消える。見慣れた街が静まり返る導入だけで、日常が裏返ったような怖さがある。
麻生羽呂の漫画を原作とするNetflixシリーズ『今際の国のアリス』。主人公のアリス(山﨑賢人)が友人たちと迷い込んだ世界では、命がけの“げぇむ”をクリアしなければ生き残れない。
この記事では序盤の設定に触れながら、結末に関わるネタバレは避けて、作品の魅力を振り返ります。
無人の東京が、物語の入口をつくる
まず印象に残るのは、派手なゲームの前に訪れる静けさです。スクランブル交差点やビル街は見慣れた東京のままなのに、人の気配がない。広すぎる空間と不自然な静寂が、アリスたちと同じ「何が起きたのか分からない」という感覚を生みます。
だからこそ、“げぇむ”が始まった瞬間の落差が大きい。状況を飲み込む間もなく、アリスたちは選択を迫られます。無人の街の映像は、見せ場であるだけでなく、物語の緊張を支える舞台になっています。
トランプのマークが変える、四つの緊張
“げぇむ”にはトランプのカードが割り当てられ、マークによって試されるものが異なります。
- スペード:体力や身体能力が問われる
- ダイヤ:知恵や論理で突破口を探す
- クラブ:仲間との協力が鍵になる
- ハート:人の心や信頼を揺さぶる
ルールが変われば、怖さの種類も変わります。体を動かす場面では一瞬の判断に息をのみ、心理戦では何気ない表情や言葉が気になる。観る側も「自分ならどうするか」と考えながら、登場人物と一緒に出口を探すことになります。
見どころは、正解よりも人の選択
アリスのゲームに向き合う頭脳は頼もしいものの、この作品を強く印象づけるのは謎解きの答えだけではありません。追い詰められたとき、誰を信じるのか。自分が助かるために何を選び、誰かのためにどこまで踏み出せるのか。極限の状況が、人物の弱さも強さも浮かび上がらせます。
もともと現実に居場所を見いだせずにいたアリスが、他者との関わりを通して変わっていくところも見逃せません。“げぇむ”を一つクリアして終わりではなく、そこで下した選択が次の場面にも重みを残す。サバイバルの緊張と人間ドラマが結びついているから、続きが気になるのだと思います。
こんな人におすすめ
- 非日常の世界に引き込まれるサスペンスが好きな人
- 登場人物と一緒にルールや突破口を考えたい人
- スリルだけでなく、人間関係の変化も楽しみたい人
命を懸けるゲームが中心なので、暴力的な描写や精神的につらい場面もあります。軽い気分で楽しむ作品を探しているときより、緊張感のあるドラマにじっくり浸りたいときに向いています。
まとめ|無人の東京で問われるもの
見慣れた東京を一変させる映像、毎回異なる緊張を生む“げぇむ”、追い詰められた人々の選択。『今際の国のアリス』の面白さは、この三つが重なっているところにあります。
刺激的な設定の奥にあるのは、「どう生きるか」という問いです。サバイバルものが好きな人はもちろん、人間ドラマを重視する人にもすすめたい一本です。
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